バックナンバー6  2002年5月6日掲載

電源と漏電のしくみ

一般の需要家に供給される電源は電灯用 単相三線式 と 動力用 三相四線式 の二種類となります。

電圧は電灯用は100Vと200Vの複合、動力用は200Vとなります。

単相三線式の図です。

供給される時は三本の線で構成され内容は上図のようにA相とB相・共通線のニュートラルで成り立ちます。

AとB間では200V、AとN・BとN間では100Vとなります。

建物の内部では右側のように配線されています。100Vのコンセントでは必ず片側がニュートラルとなります。

図でわかるように、100Vコンセントは回路によってはAとBが存在しますので2回路以上で負荷に接続する

ことは200Vが発生する危険が有ります。容量の関係で二回路以上の供給をするときは負荷を確実に分離

して、電源を混在させないことが肝要です。

単相三線式の大きな特徴としてニュートラル線があります。これは電源線でありながら供給以前から地面に

接地してあることです。

これにより通常の100V電源では片側のABの一本のみが漏電の原因となります。N相では漏電しません。

逆に200Vではどちらの線でも漏電が発生します。

通常電線の色はニュートラルは白、A相B相は赤・黒で配線されています。

電気は必ず各線同士と地面に対して流れようとします。これらを阻止するのが絶縁です、完全な

絶縁状態であれば電気は流れることができません。この絶縁を低下させる最も大きな原因に水分が有ります。

水分が付着すると絶縁体でも表面に付着した水分を伝って電気が流れます。

水自身は純粋で有れば電気を流しませんが、微量の不純物が入ると電気を通すようになります。

看板で例をあげると、万一ソケットに水がかかると上図のように電気が流れて漏電となります。

100V電源であれば下側はニュートラル側ですので漏電は発生しません、200Vとですと両方から

漏電が発生することになります。

通常の器具は電源線を色わけしてソケット下側を白線側に統一してあります。下側ソケットの方が

より水のかかる可能性が有りますので、このように作られているのです。

漏電はあらゆる機器で微量ながら発生しています。特に水分の多い環境や経年変化により絶縁は低下します。

看板の漏電事故を防止するには

1.一般的な蛍光灯器具は防水構造で無いことを認識する。特にソケットや結線部は屋内用の部品で

  内部接点が完全被服されていません。水分が付着すれば、ただちに漏電が発生します。

  従って侵入した水が直接器具にかからないように、水切り等の留意が肝要です、また、

  侵入した水が蒸気となって結露をしないように換気穴・水抜き穴を確実に装備してください。

  (展示会等で水中に器具を入れている例がありますが、これは上で説明したニュートラル側だけを

   水中にいれて漏電が起きないとしている誤解を招きやすい例です。基本的にはどのメーカーの物でも

   同じことができます。器具の向きを逆にしたり、200Vではただちに漏電となります。)

2.器具の取り付け方向を確実にまもる。縦方向に使用する場合は逆付けをすると、上図のハイレベル側

  が下のソケットとなり非常に漏電しやすくなります、また安定器の内部に水が入りやすく安定器自体の

  絶縁が低下し漏電となります。

  (安定器の防水型の表示は多少の水がかかっても大丈夫という内容で防水とは異なります。これは

   電気用品の規格で防水型とは時計の簡易防水程度のことで、完全な防水規格は防水となり型の字

   がありません。これは他の機器も同様で防水仕様と防水型仕様の2通りとなります。看板灯は基本的

   には屋内用器具となります。

3.電線の引き回しを器具直近では下にU字型をつくり電線を伝う水を手前落下させ器具にかかることを防止する。

4.水の入りやすい構造では、防水型ソケットを採用した器具を使用する。

                (当社ではFUSB・FULB・FUFB・GCB防水)

5.看板ごとに漏電ブレーカーを取り付ける。看板の漏電は多量の降雨や台風等の異常な降雨で一時的

  に起きることが多く、この場合漏電ブレーカーが有れば看板自体の電源のみ遮断できます。

  漏電ブレーカーが無いと基幹の電源の漏電ブレーカーが作動し建物全体が停電となります。

  (異常な降雨の場合は後で復旧する例が多い)

  看板自体に漏電ブレーカーがあるともう一つメリットが有ります。

  漏電は先に述べたように、あらゆる機器で発生しています。漏電ブレーカーはそこにつながっている

  すべての機器の総合計を検出しています。このため、飲食店等の事例では看板の電源をいれると

  ブレーカーが飛ぶという例で調べてみると、看板だけでなく冷凍機等の厨房機器である程度漏電があり

  一番最後に点灯する看板の漏れがあわさって、基幹の漏電ブレーカーの規定をオーバーしてしまう例が

  多々有ります。この場合看板だけを改善しても復旧しにくく、全体の機器個別に点検が必要となります。

  このとき看板自体に漏電ブレーカーが有れば看板の漏電状態の良否を簡単に判断することができるのです。

6.漏電は少なからず発生しているとの認識を持つ。絶縁で完全なものは存在しません、ほんのわずかずつでも

  電気は漏れています。

  とくに湿度の高い時期はなおさらです。蛍光灯器具も1灯であれば微量なものも、10灯100灯となると

  その灯数倍の漏れ電流となります。灯数が多いときは、より確実な雨水対策と配線処理が重要となります。

*蛍光灯ホルダーの絶縁パッキンについて

  蛍光灯ホルダーは従来、絶縁パッキン部で取り付けて、看板本体から浮かせて取り付けることが一般的でした。

  これは看板内に水が入るのはやむを得ないとの考え方から、器具での漏電を器具部分で止めてしまうという

  方法で電気的には感電事故の要因となる部分がありました。

  最近の電気用品の法令では看板灯として認知され、シャーシ部分のアース処理が規定されています、

  これは器具が屋内用と同等の仕様の上から判断され、万一水分が付着した場合はただちに漏電を検出

  できるようにするためです。

  安全面からは最良の手段ですが、現状では大型看板等ではこのような方法をとると漏電ブレーカーが

  頻繁に作動し実用に適さなくなってしまいます。このため各メーカーとも従来通り絶縁パッキンを使用して

  いますが、上記の法令の規定を認識して、一般の方がメンテナンスする看板ではシャーシの接地をお薦めします。

  大型の看板や高所のものではプロがメンテナンスする前提で絶縁パッキンを利用することがよいと思われます。

  ただ、最良の選定としては、防水型ソケットタイプの器具を使用しシャーシを接地するのが正しい施工と認識してください。

漏電ブレーカーはこれらの漏電量を検知して規定値以上になると電源を遮断する物です。

漏電は上記のように微量な場合は問題有りませんが、絶縁が極端に低下すると漏れる電流が大きくなり火災や

感電の原因となりたいへん危険です。

漏電ブレーカーはこのような危険な状態の漏電を検知するとても重要な部品です。

漏電の検知で重要なことは接地されているということです。接地されていることで漏れた電流が地面に流れて、

戻りが変化することで検出できるのです。

下図に感電の例を表します、Aの場合は手から足そして地面へ流れています。Bは手から手そして機器を通じて

地面に流れています。Cは手から手ですが反対相へ流れています。

この場合AとBは地面に電流が流れますので漏電ブレーカは作動します。しかしCの場合は地面に漏れないので

検出できずたいへん危険な例です。

感電は電気の流れる道が構成されて発生します、たとえばAの例で人が絶縁靴を履いていれば電気は流れずに

感電となりません。

感電を防止するには、

1.点検時は電気がきているのか、きていないのか確実に事前に確認する。また、途中で入力されないよう確認をする。

2.器具や電線にさわるときは、必ず片手を浮かせておく。また、絶縁度の高い履き物や衣服を着用する。

3.電気の危険性を認識し、慣れによる過剰自信を持たない。

電気を怖がる人は比較的感電しても驚く程度ですみます、逆になれすぎると上図BCのような事故が発生しやすくなります。

人体にも抵抗が有りますので、手から足に流れる方が、手から手へ流れるより少なくなります、また、

電気が流れる場所も手から手の方が心臓に近くはるかに危険となります。

とくにCの場合は漏電ブレーカが作動しにくくたいへん危険な例です。活線(電気のきている電線)を扱う場合

は十分な注意が必要です。

点検を通電したまま行うような状況では、看板本体等も先にテスターで接地に対しての電圧測定をすることをおすすめします。

多少とも電圧があれば、それなりの覚悟で作業を行うようになり、大きな事故になることはまずありません。

電気は見えないだけに、これから触れる部分に電気がきていたらどうなるか?触れて電気がきたら自分のどの部分

を電気が通ってっていくか?この2点を常に意識していれば、感電事故に巻き込まれることは希です。

 

*電気エネルギーほど便利で安定したものは有りません。正しく使用してより長く社会に貢献できる機器を製造して参ります。

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