☆ ☆ ☆ ト ピ ッ ク ス ☆ ☆ ☆  2003年8月18日掲載

夏休みいかがでしたか?

今年の夏もとても暑い日が続きました。猛烈な太陽パワーなんとか有効活用ができないだろうか?

毎年考えます。

夏の暑さと冬の寒さを保存できたら最高の省エネになるのに・・・

さて、今回はこの太陽パワーを活用する太陽電池について話たいと思います。

太陽電池のしくみ

太陽電池は半導体です、基本的には身近なダイオード・トランジスタなどと同じ構造です。

一般的にはシリコン系が主で製法の違いによって生じる構造の違いで結晶型と非結晶型(アモルファス)に分けられます。

結晶型はシリコンウエハーをベースにPN接合を製造する製法で、大型化・低コスト化が難しい反面、製法・構造が確立されていますので、信頼性の高い太陽電池となります。

非結晶型は透明導電膜上にプラズマ蒸着でPN層を製造する製法で、大型化・低コスト化が期待できますが、製造工程は自動化された大がかりな製造ラインが必要となります。

発電はこのPN層の接合により構成された半導体で行われ、光が吸収されると内部に自由電子が生じる光起電力効果を利用しています。内部の自由電子はN層にあつまり、このときP層と接続することで電流が流れ発電したことになります。

太陽電池は名前こそ電池と呼ばれますが、電気を蓄えることはできません。従って発電にはこのPN層から導線で電気を外部電池や負荷に接続して始めて発電となります。

通常我々が目にする太陽電池はモジュールとよばれるもので、上記の製法で作られた太陽電池の最小単位(セル)を用途に合わせて必要数フレームに並べて電極や保護フィルムやガラスを装着したユニットで、基本的にはこの太陽電池モジュールを組み合わせて利用します。1セルの起電圧は0.5V程度です。

太陽電池 gl230.gif (164198 バイト) gl434.gif (174890 バイト) gl634.gif (171807 バイト)

 (あまりよいカタログがなく見にくくて申し訳ありません、後日関連部品のページを用意します)

太陽電池の発電システムを考える

最小システム図   システム構成例 

基本的なシステム構成

一般的にはDC12Vのシステムが主流で構成は下図のようになります。

充電コントローラーはバッテリーの過充電・過放電を防ぐ制御装置でバッテリーの保護をします。太陽電池を自己制御機能(バッテリーの充電末期電圧と同等の電圧出力)のある物で組む場合はコントローラを逆流防止ダイオードで代用できます。

このシステム出力はDC12Vですので、商用電源AC100Vで働く機器の場合はDC-ACコンバーターが必要となります。

システムの計算例

計算のための太陽電池システムの基本データ

太陽電池はさまざまな自然条件の影響を受けます。基本的には太陽光の強さに比例しますが他の条件として温度や部分的な陰の影響があります。

システムを考える上で太陽光の強さと日照時間を把握する必要があります。これらの条件は季節・時間で変動します。日本の年間日照時間は1500~2000時間、1日平均で4~5.5時間です。光の強さも時間によって変動しますので、電池メーカーが基準とする放射照度1000W/㎡に換算すると2.6~4時間となります。これらの数値から平均的な数値として3.3時間を1日あたりの有効充電時間と考えます。

関連する機器の一般的な補正係数

   太陽電池出力補正係数  0.85    バッテリー充放電損失補正係数  0.95

   インバータ・コンバータ効率 約 80%    ダイオード電圧ドロップ  0.7V(整流シリコン)

   バ゛ッテリー満充電係数 1.24(鉛蓄電池)  バッテリーの保守率 0.8

負荷の計算

ここでは蛍光灯を考えてみます。20Wの蛍光ランプを点灯させるとして、システムがDC12VですのでDC12V用のインバータ式器具で算出します。

負荷の電流値  20W/12V≒1.7A    効率80%  1.7/0.8≒2.1A  2.1A

1日の消費電流値    点灯時間 5時間として    5h×2.1A=10.5Ah/D   10.5Ah/D 

太陽電池の選定

1日当たりの最低必要発電電流=10.5/0.85×0.95=13Ah/D   損失の補正

太陽電池の必要電流=13/3.3≒4A    必要発電電流/有効充電時間

・・・・出力電流 4A 以上の物

最大出力動作電圧=バッテリー公称電圧×満充電係数×ダイオード電圧ドロップ

最大出力動作電圧=12×1.24×0.7=15.58V

・・・・出力電圧 15.58V 以上の物

太陽電池は上記より出力電流4A以上・出力電圧15.58V以上のものを選定します。現実にはバックアップのことをかんがえて出力電流は1.5倍程度のものを選定します。

バッテリーの選定

バッテリー容量の計算は、雨天など無日照時の保証日数を考えて算出します。

ひとまず保証日数を5日として計算してみます。

バッテリー容量=1日の消費電流×保証日数/保守率

バッテリー容量Ah=10.5Ah/D × 5 / 0.8 ≒ 65.6Ah となります

バッテリーは公称電圧12Vで66Ah以上のものを選定します。

上記システムの実機による費用計算例

太陽電池 出力電流 6A 出力電圧 16V を得るにはサイズは1200mm角程度の面積が必要になります。

価格的には、一般的なもので15~25万円位

バッテリー12V70Ah一般的なもので3~4万円位

充電コントローラ一般的なもので2~3万円位

実際のシステムを構築するには上記のほか、架台等の施設もひつようとなりますが、最低限の部品は20~30万円くらいで用意できます。

蛍光灯20W1本を、1日5時間点灯するだけのシステムとしては、たいへん高価に感じると思います。太陽電池で発電できる電気量は通常我々が使用している電気量から見るとわずかなものなのです。

太陽電池の需要が増えてコストダウンが進まないと、従来の電気の代替えには現実問題として難しいのが現状です。

しかし、最近のLEDや冷陰極ランプなどの高効率の光源が開発されたことで、負荷の容量が低減できますので用途や環境によっては十分に実用できる機会が増えています。

風力発電との複合式なども開発されています。

電気の無い環境や省エネのシンボルとしての需要も高まりつつあります。また、標識のような点滅で利用を考えれば、負荷は1/5~1/10程度まで圧縮できます。

ぜひ、太陽電池の有効利用を考えてみませんか?

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